HIRO T'S DIARY

● 5月の日記 ●

5月1日(水曜日)

「行ってきま〜すっ」って元気な声がボクの部屋の外で聞こえた。亀ちゃんだ。「はい、いってらっしゃい。」って返事してふと思った。「どこへ行くんやろ?」追いかけて事務所前でつかまえた。「いえ、今から営業に出かけるのです。」てきぱきと回答があった。「あっ、そうかそうか、ほながんばっていってらっしゃい。」と送り出した。滅多に着ることのない背広の後ろ姿が凛々しかった。

オフィスに戻ってほっと一息ついて思った。
「でも、どこに営業に行くんやろ?」

5月3日(金曜日)(55回目の憲法記念日の祝日)

今日はファンキーマーケットの日。お昼12時まで放送。いつも通り月曜日の仕込みをしてその後は万博には行けず代わりに大阪城野音に明日のリハーサルをチェックに行った。誰もいない客席に陣取って明日のアーティストたちのリハーサルを見学。う〜〜ん、ステキだ。リスナーのみなさんにこの音たちを早く体感してもらいたい。ほんとにそう思った。

いいお天気だった。天気予報では明日はおおいに怪しい。祈るような気持ちで帰路についた。

そして明日はこの客席がみんなの笑顔で埋まる。

5月4日(土曜日)

大阪城野音恒例のニュー・ブリーズ。開演30分前にオープニングアクトがスタート。いきなり怒ファンクな音はGATS TKB SHOW。たった2曲それでも客をぐんぐん引っ張っていった。そしてガラッと変わって光永亮太くん。ギターサポートの人と二人でしっとりと歌い上げてくれた。今日が彼にとって22才の誕生日。いい思い出になったのでは。楽屋で会う亮太はマジ好青年であった。

このノン・クレジットの二人のパフォーマンスのサプライズから今年のニュー・ブリーズはスタートしたのである。

そして2時ジャスト、Hiro T.登場。会場には3000人ものお客さまが来てくれた。みんなにこにことしてこれから始まる新進気鋭のアーティストたちのパフォーマンスを待ち望んでいる。開会宣言ではあるが、やはりなごんでもらわないとと思ったので普段は超まじめなボクもちょっとくだらんギャグなどをかましてしまった。今となってはイメージが壊れなかったかそれだけが心配なのである。

ほんと、写真がちっさくてみづらいが本編立ち上がりはデビューしてまだ間もない森広隆くん。とにかく「飛ばせ、飛ばせ!」と煽った甲斐もあってまたまた超ゴキゲンな疾走感溢れるファンクチューンで乗せてくれた。いや、まあ、とにかくリズムが圧巻である。これからが大いに期待出来るアーティストであります。

残念ながら演奏後はすぐに移動ということであまりしっぽりとはしゃべれなかったが、また番組に戻ってきてもらうことを確約した。

対して今日しっぽりといっぱいお話しをしたのが直太朗くん。まずはステージである。昨日のリハの時よりもボクには数段良く聞こえた。伸びやかな歌声に魅了された人もたくさんいることであろう。やはり本番で聴かせるあたり、ただものではないのではあるまいか?(と、ちょっとだけよいしょもしてしまう俺はホントにいいおじさんだ。)

彼はその後もほぼ終演間際までいてずっと他のアーティストの演奏も眺めていた。直太朗なりの充実した一日であったのではなかろうか?(雨男と広言していたが少なくともこの時には雨はまだやって来ていなかった。)

続くのはまず押尾コータロー。これも絵がちっさいがとにかく持ち時間を目一杯使ってみんなを彼のギターテクで唖然とさせていた。

そして櫛引彩香。ギター、パーカッションそして彼女のキーボードとシンプルな構成だったがそれでもその上を踊る彼女の歌声はしっぽりと会場を包んだ。

そして中国からやって来て今は大阪弁もちょっとだけやるチェン・ミン登場。彼女が奏でる中国伝統の楽器二胡の音はもうホントに鳥肌ものである。ステージの音を聴いて空には鳥がチュンチュンとさえずりだした。(鳥たちも鳥肌になっていたはずだ。)とにかく徹底的に絵になるステージを披露してくださった。謝謝!

その後にはスライ・トライブス。まだ彼らはインディーズだがそれでも精いっぱいのステージは見ていて気持ちよかった。きっと大分緊張しただろうがきっとたくさん得るものもあったことだろうと思う。

そして「はじめにきよし」の登場である。もう何の飾りもなくギターとピアニカのインストバンド。これがまたくせになりそうだ。いい意味での大阪MCとのこぎりまで駆使してのステージにお客さんは大満足だったはずである。

そしてそしてもうひとつのサプライズは、ぬあんとボク自身のパフォーマンスである。ビートルズのブラックバードをやった。押尾コータローがサポートまでしてくれた。

だが、結果は聞かないでくれ!お願いだから!!

その後登場したのはKUMACHIである。少し前から知り合いになったこのバンドの生演を聞くのは初めて。でもリハの時から見ていてかなり以上にライブをこなしてきてるなって思った。満を持して秋にはメジャーデビューが決まったそうだ。期待出来るぜ。

続いてキンモクセイのライブである。KUMACHIあたりから降り始めた雨がここで本格的になる。遂に恐れていた事態に突入。しかしそんな雨などもものともせずに「時代を後追い」サウンドで会場のみんなを楽しませてくれた。彼らのライブもボクは初体験。でもやはりキンモクセイもライブが出来るバンドであることを発見した。

もう本格的に降り出した雨の中。オレンジ・ペコーである。去年はオープニング・アクトだった彼らがメチャメチャ大きくなってステキなステージを披露してくれた。いやはや、大人である。智子、一馬、ええ後輩を持ってわしゃ幸せじゃ。(因みに一馬は買ったばかりのダキストのフル・アコを持っていた。)

矢野真紀ちゃんの時に雨は小康状態に。ぱらつく雨の中確実に矢野ワールドをみんなにプレゼントしてくれた。「魔法」の時には曲を書いてくれた広沢タダシと共に初めての共演も聴かせてくれた。自分を100%表現しきれる希有なアーティストだね、彼女は。

ライブのクロージングは広沢タダシ。彼を初めて知ってからどれぐらい経つのであろう。インディーズで懊悩していたであろう時代も知っている。去年も出てくれたステージだったが、確実に彼は「成長」している。もうホントにホントに絶大な期待をボクは広沢くんにしている。

以上オープニングアクトを含めると全部で14アーティストの共演が8時前に終わった。雨の中、さすがに耐えきれずに帰る人もいたがそれでも残っていた人たちの顔には音楽を大満足した笑顔が見えた。嬉しかった。

また来年もやろな!きっとやで!
そしてまたこれから1年キラキラと輝くアーティストをボクは探し続けるのです。

5月10日(金曜日)
2度目の登場の櫛引彩香である。もう2度目だからビッキーとか呼んじゃっているのである。ちょうど先週の土曜日にニューブリーズにも出てくれたのでそのあたりの話しから最近の活動状況までをつぶさに検証した。なにやらまったりとした時間を過ごす「深夜喫茶」というイベントもしているのだそうだ。東京だけでやっていたその「深夜喫茶」の大阪初見参の話しも聞いてなごやかにインタビューの幕を閉じた。しかし彼女も言っていたけどやはりアコースティック・ライブというのは声がその比重を増す分、うまくいった時は素敵なモノだ。ニュー・ブリーズのライブ音源を聴いてもそう思った。彼女も声の表情で伝える人なのである。
5月15日(水曜日)

昨今売り出し中のポップ・グループ「キンモクセイ」からミラクル・ボーイズと異名を持つ強力タッグが番組に来てくれた。どちらもギター担当の後藤くんと佐々木くんだったのである。後藤くんは2回目で佐々木くんは初めて。でも前回もそうだったが何故か「キンモクセイ」メンバーには全く壁を感じない。好青年と好おじさんの取り合わせだからであろう。ニューブリーズの話しとシングル購入者対象のキャッシュレスツアーの話しなどをたっぷりと聞いてお開きになった。楽しかった。

彼らが帰る前にブライアンセッツァーからリスナーへのプレゼントのギターでボクのロカビリープレイの真骨頂を聞かせてあげた。二人ともボクの腕前を聞くよりもほんまにギターが欲しそうであった。「子供やないねんから、指くわえるのはお止し!」とたしなめてあげた。

5月16日(木曜日)

おちあいさとこさん。彼女を知ったのがもう3年以上前になる。東京のインディーズレーベル「パパラギ」さんから送りつけられてきた一枚のアルバムからである。聴いてみたらステキな日常の心の機微を歌い込む素直な歌声に惹かれた。それがおちあいさんである。番組でもだから何度も彼女の曲をかけつつその内にメールの行き来がはじまり、彼女からの個人的なブッキングで今日のゲストとあいなったわけである。歌が好きで手作りでコツコツとライブを続けている彼女の姿勢に打たれた。

そうなんです、派手さはなくてもコツコツ地道に続けること。これはとても大切なことなんです。そんなことを改めて彼女は感じさせてくれました。ステキな歌をありがとう。ほんでこれからもステキな歌を・・・

5月21日(月曜日)
もうこれで約1週間ボクの手許にあのブライアン・セッツァー・モデルのグレッチのギターがある。彼が番組のリスナーにあげてくれと提供してくれた逸品だ。いよいよ明日たくさんの申し込みの中から当選者を選ばなければならない。だが、今現在は当選者もいなくて基本的にこのギターはボクの自由になるのだ。あまりにも惜しい。出来れば人手に渡したくはない。愛おしいのである。まだ嫁ぎ先の決まっていないギターはだから管理者であるボクの自由になるのである。どうせ誰にも分かりっこない。今日は心ゆくまでこのギターを鳴かせてやろうと決心してとにかく弾きまくってやった。ええ音をたっぷりと聴かせてくれた。「ウヒヒヒ」と笑いつつなんか江戸時代の悪代官様になった気分であった。

ふと回りを見回すと誰もいない。チャンスだ。明日番組で「ギターは無くなりました」と言えばいいのだ。ケースに入れてこっそり立ち去ろうとしたら警備のおとこ達に捕まった。よく見れば我が社の社員ではないか!いやなやつらである。「もうしません。許してください。」と一筆書かされてギターは802の倉庫に厳重に保管された。一日すねてやった。でも事態は変わらなかった。

当選者発表は明日である。

5月22日(水曜日)

ニュー・アルバム「My Story」をリリースしたばかりのチェン・ミンさんが来てくれた。何度も会っているような気になっていたが番組登場は今日で2回目。サポート・ギターの人も連れてきてアルバムから「風のくちづけ」を演奏してくださった。いつ聞いてもそうなんだが、二胡のあの音の表情はほんとにたまりません。ライブも大阪・京都で来月予定されている。まだ生二胡を経験したことない人は絶対行くべし!

出演終了後彼女の二胡を借りて演奏してみた。ボクの音の表情にさすがのチェン・ミン先生も感動されたようだ。言葉少なにスタジオを後にする先生の後ろ姿を見ながら「ボクとのデュエット話が来たらスケジュール調整が大変だな。」と本気で思った。

5月24日(金曜日)Part1.

12回目の直太朗くんだ。もう毎月一度訪ねてくれて1年になる。コツコツと1年だ。ちょっとした感慨。スタジオではまたいきなりのライブからスタート。今日は「レスター」を演ってくれた。今までの中でも秀逸のライブだったような気がした。その後はいつものように仲がいいんだか悪いんだかわかんないトークをした。でも楽しかった。

帰り際彼は今晩やってくる悪夢のことなどつゆ知らず、ボクがいつも座っている場所に陣取ってヒロTの形態模写をしてくれた。直太朗曰く俺はいつも「大体君はだねぇ・・」モードでお話しをしているらしい。一応横から「そんなこと言うててええねんな。」と押さえつけようとしたが、直太朗は聞く耳を持たなかった、この時点では。

5月24日(金曜日)Part2.

アルバム「Beautiful World」をリリースしたばかりのTake6が直太朗くんの直後にゲストに来てくれた。おしゃべりよりも音楽を少しでもたくさんと思っているので1日に2組のゲストは超特例である。しかしニューアルバムはそれほどすごいのだ。だから会いたかった。今回のプロデューサーのマーカズ・ミラーの話しなど色々と聞いて楽しい時間はアッと言う間に過ぎ去った。スタジオではBeautiful Worldもやってくれた。凄かった。番組後「お誕生日コール」や「ジングル」も作ってくれた。これも凄かった。お楽しみに。

ちょっと混ぜてもらってジャムった。帰り際に彼らは口々に「これからは名前を変えてTake7でいこうか?」と真剣に悩んでいた。海外での活動も悪くないがいろいろ大変そうなので敢えて聞こえていないふりをした。

5月24日(金曜日)Part3.
直太朗の悪夢はこの夜起こった。その日我が事務所では今年初めてのバーベキューが予定されていた。優しいボクは直太朗くんも誘ってあげたのである。「えっ?肉っすか?」と何も知らぬ直太朗はやって来た。ただ彼には「肉」は与えられなかった。肉を喰うとは言ったが、肉を喰えるとは一言も言っていないのだ。ご招待をした約20人のお客さまの前で直太朗はただひたすら歌い続けることを強いられたのである。これがニューブリーズで雨を降らせたのかもしれない直太朗に下った審判だったのだ。でも、これから発展していかねばならぬ彼はたくさんの業界の人が聴いてくれるチャンスと歌い続けた。ただ彼の不幸はみんな肉に集中して誰も聴いてくれなかったことであった。因みに一番手前は、ぬあんと直太朗事務所のマネージャーさんたちである。これを不幸と言わずに何と言う!嗚呼、直太朗。


その後のBBQはちっこい写真をアップしたように、人目を盗んで社長すら喰っていない極上肉をこっそり食べる我が社員とかその罰で炭火が消えそうになりとにかくフーフーしまくらなくてはならなくなったりしながらも楽しく時間が過ぎていったのである。右端はもう宴もたけなわの時にこっそりワキくんと撮った写真なのである。この組み合わせの件については触れないでもらいたい。

そして屋上からは一人減り、二人減りと人は消えて行き最後には何故か我が輩と直太朗だけが取り残された。肉は喰えなかったが直太朗はオンエアのような時間制限がない分饒舌であった。疲労困憊のボクの横でますます冴えわたる直太朗トークと共に空はうっすらと明けはじめてきていた。

5月28日(火曜日)

月曜日から明日までブルーノートでハイラム・ブロック、ウィル・リー、リッキー・ピーターソン、チャーリー・ドレイトンの4人がライブをしている。ハイラムは昔からの知り合い、そしてリッキーはほんとに久しぶりなので昨晩見に行った。やはり凄かった。洒落にならないぐらいの技量と年輪を見せつけられた。そして今朝の番組にゲストに来てくれた。若いギターキッズたちにも見て欲しいと学生半額割引を打ち出したのもハイラムらしいアイデアだ。火曜日にこれを見ている人、まだ間に合います、ブルーノートに予約して見に行きなさい。ほんとにすごいよ、あれが音楽だよ!

ギターで勝負しても勝てないからリッキーに行司をしてもらってハイラムと相撲をとった。サバ折りをかまされて日本は破れ去った。

5月30日(木曜日)
音楽の世界ではよく企画物とかがあって、例えばCDひとつにしてもそのまま出しちゃうんじゃなくてシチュエーションに合わせた選曲でまとめたものとかが出たりして、それはそれでなかなかツボを得たものであったりするので、ほんじゃ、ラジオでも企画物があってもいいじゃん!って思って今日ゲストにやって来てくれたゴンチチさんの二人に午前9時台の一時間いっさい喋らずにボクのおしゃべりのBGMを担当してもらうという暴挙に出たのであった。

それは見事にヒットしたのである。まずリスナーの人すべてがボクの企画に気づかなかったのだ。「みんなに後で泡を吹かせてやろう」企画大成功と言えよう。ゴンチチさんはウクレレを持ち込んで、ボクのQにあわせてシャ〜シャ〜と快適音楽を奏で続けてくださったのだ。ほぼ一時間ボクのリクエストするイメージでのBGMは超ステキであった。最後の最後にちょっとだけおしゃべりの場を設けて種明かしをしたらBBSは驚嘆の書き込みがズラッと並んだ。そしてボクはほくそ笑んだ。

別れ際にボクの「イチビリ」に同調してくださった、とっても大人のゴンザレス三上さんとチチ松村さんといつものように記念撮影をした。年齢的にはボクの方が上なのだが、お二人のあの柔らかい成熟の域には到底及ばないと赤面した次第である。ほんま、どうもありがとうございました。

5月31日(金曜日)
今日で5月も終わり。そしてワールドカップもいよいよ開幕。そんな中ビギンの3人がやって来てくれた。昨日はバナナホールでライブがあり明日明後日と続くライブの中休み日だ。今回は22日にリリースされた「島人の宝」のプロモーションがメイン。彼らを前にして再び歌詞を吟味してみて、歌い込める「宝」が豊富に手の届くところにある「沖縄」という環境に憧れにも似た気持ちを抱いた。栄昇や優や等から見れば「関西」に憧憬を抱く部分もあるとか・・・そうかも知れないよね。ここにもきっと普段は気づかない「宝」がいっぱいあるはずだよね。

楽しいインタビューを終えて記念写真のパターンを変えてみたくなった。今回は「どっちがかわいいか?」勝負である。結果はご覧の通りである。

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